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広がり

 (1) 私募債(縁故債)の発行
私募債とは、企業などが少数特定の投資家を対象に応募を呼びかけて発行する債券のことである。縁故者を対象とする場合も多く、縁故債とも呼ばれます。これまで、私募債の発行は企業規模が比較的大きく財務内容が良好な企業に限られ、中小企業にとっては縁遠い資金調達手段であった。ところが、1990 年代後半に「貸し渋り」が社会問題化され、中小企業金融の円滑化を図るために「中小企業特定社債保証制度」(保証付私募債)が平成 14 年度に創設されました。当初、保証付私募債の利用対象は純資産額 5 億円以上の企業とされたが、平成 14 年 4 月の制度改正で純資産額が 3 億円以上であれば利用可能になりました。これを機会に、金融機関にも旧来の融資形態に依存することなく、保証付私募債を積極的に活用しようとする意欲も高まってきています。
(2) グループ金融(コミュニティ・クレジット)
コミュニティ・クレジットは、「地域の自立的な発展」を目的とする地域企業等のための金融手法である。地域社会において互いに信頼関係にある企業等が、相互協力を目的に資金を拠出し合い連携することで地域社会において個々の企業の信用をより高め、金融機関からの資金調達を円滑にするとともに、地域の資金を地域に還流させる効果も認められます。
最初の融資対象となった事例は、平成 13 年 11 月、日本トラストファンド株式会社(本社・神戸市)を中心とした阪神・淡路大震災被災企業等 15 社のグループ(コミュニティ)が展開する事業で、被災した神戸の地域経済を活性化する事業を相互扶助の精神により応援・創造することを目的とするものであった。中小企業の資金調達に対するコミュニティ・クレジットの利点は次の 3 つである。一つは、コミュニティ・クレジットは相互に豊富な情報を有する地域企業間の信用に基づいた金融であること、二つ目は、地域企業間における信用や情報の開示が担保となり、金融機関の融資が可能となること、三つ目は、コミュニティ・クレジットにおいて資金融資が可能かどうかの判断はコミュニティ独自の基準によること、その際、金融機関における資金融資のように貸出基準を満たしているか否かを判断するよりも、経営のプロフェッショナルの集団があくまで現場のビジネス感覚を持って審査し、「地域にどれだけ貢献するか」という観点で判断することである。中小企業が担保や公的保証に頼らずに資金調達することは容易ではない。しかし、地域社会の「信用」という新しい媒体によって資金調達できる見通しが立てば、意欲ある中小企業の集団にとって資金調達の選択肢が増えることになります。
(3) プロジェクト・ファイナンス
プロジェクト・ファイナンスは、海外での資源開発や途上国のインフラプロジェクトにおいて採用された金融手法である。日本では、企業の信用力を基準に融資を行うコーポレート・ファイナンスが主流である。収支の見込みが確実な優良プロジェクトを計画している企業でも、信用力が低ければ融資条件が悪くなり、資金調達が難しくなります。プロジェクト・ファイナンスは信用力を事業から切り離し、プロジェクトベースの信用に即した資金調達を可能にさせます。すなわち、企業の特定プロジェクトの収益性に注目し、そのプロジェクトからの収益のみを返済原資とし、事業主体となる企業の債務保証なしで資金調達を行うものである。電力卸供給事業、廃棄物処理事業、PFI(Private Finance Initiative)方式の事業、都市開発等の分野で多くの事例が見られるが、ゲーム・映画・音楽・出版などのエンターテイメント・ビジネス関連のコンテンツに注目したものや、最近では、特許を担保にしたベンチャー企業に対する融資事例も見受けられます。経済産業省の専門研究会「コンテンツ・ファイナンス研究会」は、映画やゲーム、アニメなどを制作するベンチャーや個人に対する資金面の支援に必要な規制緩和などの議論を進め、平成 15 年 3 月、報告書を提出しました。
(4) 日本銀行の資産担保証券買い取り
日本銀行は、中小企業の資金調達に対する公的支援の一つとして売掛債権を証券化する施策を検討してきたが、平成 15 年 4 月、金融機関から売掛債権を買い入れる方針を固め、7 月中にも買い取りが実現する予定である。「売掛債権を証券化する」とは、中小企業が持つ債券や売掛債権などの資産を束ねることであり、それをベースとした証券等を使って資金調達を行う。中小企業は物的担保に乏しく人的保証にも限界がある一方、売掛債権の規模が土地や現預金に匹敵する額であることが指摘されています。平成 13 年度「法人企業統計年報」によれば、資本金 1 億円未満の法人が有する売掛金は約 65 兆円と、従来担保として多く利用されてきた土地の約 74 兆円、現金・預金の約 77 兆円に近い金額である。また、わが国における金融機関の中小企業に対する売掛債権担保融資は、残高ベースで現在 1,000 億円程度と推定されている。こうした売掛債権を活用することにより、先に述べた「不動産担保からの脱却」を目指し、中小企業に対する貸出が拡大されることが期待されています。資本市場に直接アプローチすることが難しい中小企業のような資金需要者に対し、金融機関が市場から調達した資金を融資し、間接的に市場の資金を供給するこのような仕組みを市場型間接金融と呼びます。市場型間接金融は、直接金融導入に向けてのステップアップであるとも位置付けられます。今回のような施策を日本銀行が提示したのは、銀行の不良債権処理が加速するにしたがって銀行の貸出が減り、体力の弱い中小企業が一層資金難に陥ることを憂慮したためである。企業向け債権を裏付けとする資産担保証券を民間金融機関から買い取り、資金を供給する新しい金融緩和策を提示したことになります。日本銀行が民間企業債務を購入対象とするのは初めてであり、緩和効果を中小企業などの資金繰りに直接波及させ、資産家に安心感を与え、資産担保証券を購入する投資家を増やす可能性が期待されます。しかし、民間債務の買い切りはリスクが高く、信用度や購入規模などを慎重に検討すべきであるなどの懸念や、中小企業の資金繰り改善に向けて解決しなければならない要因には過剰債務や不良債権処理といった他の要素もあり、日本銀行だけの取組だけでは片づかないのではないか、などの指摘もあります。
(5)地方自治体における債権証券化
地方自治体の中には、日本銀行における取組と同様の債権の証券化を行っているところがあります。平成 15 年 6 月現在、債権の証券化を行っている地方自治体は、東京都、大阪府、福岡県、および大阪市である。地方自治体が債権の証券化を行うことによって、中小企業の信用リスクを金融機関以外の主体にも負担させることができます。その分、金融機関は他の貸し手に資金を融資でき、また、売掛債権等の中小企業の資産を証券化することによって証券の買い手を増やし、資金回収が早められることも期待できます。

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